お葬式の執り行い方は様々ですが、共通することは、亡くなった人のことを深く思い、その人との大切な関係を心に刻み、深く悲しみ、丁重に弔うということです。 近年、「家族葬」が注目されています。しかし、「家族葬」の元の意味とは離れ、「簡単に、安く、葬儀を済ませてしまうこと」という誤った認識もなされています。 「家族葬」を選択された方が後悔することで多いのは、親しくしていた人などに十分に連絡がいかず。その方々が悔いを残してしまったり、「死亡した」という事実を隠すような結果になり、精神的な区切りがきちんとつけられなかった、ということです。 悔いのないお葬式をしたいものです。
自分にとって大切な人と死別することによって、自分も大切なものを喪うのです。それが悲しみ、嘆きとなって表れるのは自然なことなのです。 側にいる人は「しっかりしてね」「がんばって」などと励ますのではなく、悲しみを静かに受け止めてあげましょう。
死亡の判定は医師が行います。 病院死や自宅死で主治医がいる場合には「死亡診断書」を、突然死や事故死等の場合には警察医(監察医)が遺体を検査し、「死体検案書」を発行します。 死亡届は、死亡診断書(死体検案書)と一緒に、市区町村役所に提出します。役所は24時間受け付けています。
事前に決めておいた葬儀社に電話をして、病院名・棟名、病室名、亡くなった本人の名前、家族の名前、病理解剖の有無(病理解剖がある場合、その時間待たなければいけません)、緊急連絡先の携帯電話番号等を知らせ、迎えに来てくれるよう依頼します。 連絡を受けた葬儀社は寝台車を手配し、病室または霊安室に迎えに来ます。事前に、依頼する葬儀社を決めておくと安心です。
亡くなった人がどこかの寺院、神社、教会に属していた場合には、安置場所が決まり次第、その宗教者に連絡します。キリスト教会の神父や牧師は、危篤・臨終の場にも立ち会うことがあるので、連絡は早めに行います。 宗教者にお願いして葬儀絵をしていただく場合、できるだけ事前に、お願いする宗教者を決めておくとよいでしょう。(檀那寺等がなく、宗教者を依頼したい場合は葬儀社が相談に応じます。)
葬儀社は日本全国に5,000社あります。その時になって探して、その家族の希望に合った葬儀社を選ぶというのは至難の業です。できれば事前に面接して選んでおきたいものです。選ぶ基準は次の9点です。
①相談者の話に熱心に耳を傾け理解しようとしているか。 ②相談者の身になって考えてくれているか。 ③提供するサービスや商品についてわかりやすく説明しているか。 ④葬儀について、ビジネスとしてだけではなく、きちんとした使命感をもっているか。 ⑤料金についての説明が丁寧でわかりやすいか。 ⑥厚生労働省認定葬祭ディレクター技能審査試験に合格した葬祭ディレクターがいるか。 ⑦依頼した条件での見積書を作ってくれて、持ち帰ることができるか。 ⑧地域密着の地元葬儀社であるか。
お葬式の「良い・悪い」の評価は、料金の安さだけではありません。提供されるサービスの質の高さも併せて評価したいものです。
できれば葬儀社との打ち合わせの前に、ご家族でどういう葬儀がいいのか相談しておくといいでしょう。
①故人をどういう想いで送ってあげたいか ②宗教の確認 ③どういう人に通知するか ④喪主を誰にするか ⑤予算のついて ⑥会場について ⑦遺影写真の準備
一般の方で「お葬式のプロ」はいません。わからないことは恥ずかしいことではありません。大切なご家族の葬儀です。細部まで納得するまで話し合いをしましょう。 喪主あるいは施主としてお葬式の運営に責任をもつ方は、打ち合わせのときは、最後まで、席にいてください。後から「知らなかった」と悔いを残すことがないように。
お葬式にかかわる費用は大きく分けると
①葬儀社経由で支払う費用 ②宗教者へのお礼 ③家族が直接支払う費用
の3つに分かれます。 ②の宗教者へのお礼は、宗教者と直接お話をして、葬儀のお願いをし、お礼するものです。 ちなみにお布施などの宗教者へのお礼には、水引のついた袋は用いずに、白封筒に入れて渡すのが通例です。お会いして直接の手渡しが原則です。 ③の家族が直接支払う費用は、親族の交通費や宿泊費等で、そのご家族の事情によって変わります。
これは大きく4つの項目からなります。
①基本項目 自動車でいえば車の本体価格に相当します。 車でも車種、用途、グレードによって価格が変わるのと同様に、葬儀でもプランによって変わります。 ②オプション項目 それぞれが必要に応じて選ぶもの。自動車でいえばカーナビやサンルーフ等の特別仕様料金にあたるものです。 ③立替項目 式場料、火葬料、霊枢車の運賃等、葬儀社が立て替えて支払う費用。 ④変動項目 会葬者や会食への参加者数によって変動する費用。会葬返礼品、料理等の費用。
葬儀社により① 基本項目に含むものと②オプション項目になるものなど、内容が変わっていることがあります。
事前に見積書を発行してくれない葬儀社なら、依頼しないで断ったほうが安全です。 希望をはっきり話して、それに基づいた見積書を出してもらい検討しましょう。 見積書の段階で確定しないのは、料理や返礼品という会葬者の数によって変動する費用です。 返礼晶は、一般品の場合には使用した分の精算になっていますので、多めに予測しておいたほうが安全です。消費者アンケートを調べてみると、「思ったよりも高かった」原因の多くは「会葬者数が予想より多く、返礼品代などがかかった」というものです。
お葬式の日程のとり方はさまざまです。
①2日のケース 死亡して24時間経過しないと一般には火葬することができませんので、最も短い日程です。 死亡当日の夕方に通夜、翌日に葬儀して火葬。しかし、この日程はあまりお勧めできません。 家族、親族、知人への連絡も難しいですし、慌しくて、亡くなった方としっかりお別れができないからです。 ②3日または4日のケース 亡くなった当日は近親者だけでお別れし、翌日夕方に通夜、3日目に葬儀。これが普通の日程です。 しかし、火葬場の休みの日が入ったり、宗教者の予定がつかなかったり、関係者への連絡が滞り、 1日延びて4日になることもしばしばあります。 ③5日以上のケース 季節によってはご遺体の保全が難しいところです。 関東北部から北、新潟・長野・静岡・熊本の一部のように、先に火葬をする場合には、遺骨は腐敗しないので、 後はゆっくりと葬儀の日程がとれます(葬儀の前に火葬をするので「骨葬」といいます)。 また、エンバーミング(遺体衛生保全処置)をすれば、腐敗が進行せず、 2週間程度はご遺体を安全かつ衛生的に保全できます。 ④その他のケース 近親者だけで密葬(火葬)を行うことにより、本葬あるいはお別れ(の)会を、1ヵ月後でも自由に設定できます。 社葬・団体葬など、広範囲な連絡を必要とし、準備に日程を必要とする場合にはこの方法をとります。
香典や供花には、贈る人の、「亡くなった方を惜しみ、弔うことを、何かの形で表現したい」という想いがあります。 金額は人によってそれぞれですが、こめられた弔意、託した想いは、感謝して受け取ることが大切です。 お金の受け渡しというよりも、気持ちの受け渡しが大切な意味をもちます。 お礼について、決まった形はありませんが、明治時代以降、香典にかぎらず贈答では、いただいた金額の3分の1(三分)~2分の1(半分)程度の品物でお礼をするという慣習があります。
法事等の葬儀後の追悼儀礼は、亡くなった方のことを覚え、感謝するという大切な意味があります。故人が家族、親戚、仲間にとってかけがえのない大切な存在であったことを思い起こし、今あるのは故人のおかげであると感謝し、故人の安寧を祈る時です。 仏教では四十九日までは7日ごとに法事をします。五七日の三十五日または七七日の四十九日には関係者を招いて法要・会食を行います。その後百か日、一周忌(1年後の命日)、三回忌(数えで計算するので、実際は2年目の命日、以下同)、七回思、十三回忌、三十三回患を特に大切にして法事が行われ、三十三回忌または五十回忌をもって弔い上げとします。 神道では、五十日祭までは毎日朝夕に霊前日供の儀を行い、翌日祭(葬儀の翌日)、その後10日おきに霊前祭を五十日祭まで行います。
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